ユースケ
5月3、4、5日の3日間、2泊3日のキャンプに行った。場所は阿蘇赤水の山口力男さんの百姓村牧場で、何回か行ったことのある広い草原だ。
今回はその草原で1日から5日の間、虹の岬祭りがあっていてその祭りへの参加も兼ねたキャンプなのだ。虹の岬祭りは、去年も佐賀までキャンプしに行って参加した、たくさんのバンドが来る音楽のお祭りだ。
今回行くのはヒロフミ、ユーヘイ、ユースケの3人。本当はもっとたくさん人を呼んで大勢で行きたかったのだが、計画が遅れたため呼びかけが遅くなって人が集まらなかった。JRで行くつもりだったけど、3人では荷物を運べないので予定変更、うちの父に車を出してもらった。
3日の12時、渡鹿地球子屋に集合しHIヒロセで食料を買う。買ってきた食料も含め荷物を全部車に乗せて1時に出発。後で気づくが、このときネギを車に積み忘れてしまう。GW真っ只中なので、当然阿蘇方面への道は渋滞していた。途中水と薪を買って現地に着いたのは4時過ぎだった。
着いたらまず受付をした。名前と住所を書くとフリーパスとして、手作りの袋に入った植物の種をもらった。ヒロフミはエンドウ豆、ユーヘイはオクラ、自分はひょうたんの種を選んだ。庭にでも植えようと思う。
それからすぐにテントを張る場所を探す。祭りは1日からやっているので、すでにほとんど場所がとられている。会場のステージからはかなり遠いが一番奥の空いている所にした。
荷物を全部降ろして、まずはテントを張る。テントが無くては家がないのと同じだ。ドーム型のテントなので、簡単に張れた。とりあえず中に荷物を入れ、次にタープを張る。タープの下にブルーシートを敷いて小陰を作った。
GW前で、店を4軒回って手に入れたタープだったが、本当に持っていってよかった。もしタープがなかったら、きっと日射病になっていただろう。
そして調理場もない草原なので自分たちでかまどを作らなければならない。かまどは地面に穴を掘って作る。奥行き80センチ、幅30センチ、深さ30センチほどで、手前側は坂にして、奥の3方を垂直な壁にした。そして壁の上に丸太を置いて高さを調節し、網を乗せる。これでかまどの完成だ。
作業を終えて辺りを見渡すと、外国の人がかなり多い。全体の1割くらいはそうだと思う。自分たちの隣のテントも外人さんたちで、大勢で来ていてとてもにぎやかだった。
その頃にはもう5時をすぎていた。そろそろ夕食を作る時間だ。最初のメニューは、ご飯、焼肉、みそ汁の焼肉定食にした。
まず米3合を研ぐ。水は20リットルは持ってきてあるが限りがあるため節約して使う。水を換えずに米をとぎ、すすぎもせずに飯合に入れる。
燃料が薪2束で足りるか不安なので、2人に薪を集めに行ってもらう。その間に自分はかまどで火をおこす。新聞紙や杉の葉に火を着け、細い枝、細い薪、太い薪へと順に火を移していく。火起こしは得意なので簡単だった。
火力が出てきたので網の上に飯合を乗せ米を炊く。飯合での炊飯は、だいたい10分から15分くらいでできる。飯合を触ってみて、ぐつぐつという振動が無くなったらだいたい炊けている。最後に少し強火にかけ、すぐに取り出して5分ほど蒸らす。
いっしょにみそ汁も作る。水を入れた鍋を火にかけて沸かす。だしはいりこだし、具はわかめと豆腐、後はみそを入れて、すぐに出来てしまった。
そしてメインの焼肉だが、これは大変だった。持っていったガスコンロで作るつもりだったが、火力が弱すぎたし風も強かった。そこで、かまどの網をはずしフライパンを直接火にかけて作った。玉ねぎを炒めて焼肉用に味の付いた肉を入れるだけ。
簡単なのだが、火の調節が難しくてなかなか焼けなかったり、逆に強すぎて熱かったり、フライパンがかまどの壁に当たって泥が入ったりと大変だった。軍手を2重にしてフライパンを持ったがとても熱かった。
3品とも出来上がったのは6時過ぎだった。食べている時、ちょうど夕日が山の間に沈むところで、きれいだった。でもとてもまぶしかった。日が沈むと少しずつ寒くなっていった。
食べ終わると鍋や食器の片づけだが、水を使わずにクッキングペーパーできれいに拭く。水がいる場合は取っておいた米のとぎ汁を使う。割り箸は燃えるゴミと一緒にかまどで燃やし、プラスチックや燃えないゴミだけゴミ袋に入れて持ち帰る。
辺りが暗くなり、かなり寒くなったので急いで薪や荷物をテントの中に運び込む。ブルーシートも畳んでテントに入れる。自分たちもテントに入り、寒いので寝袋に潜り込む。寝袋に入ったまま3人でトランプをするが、すぐに飽きて外に行くことにした。
外は真っ暗で辺りを懐中電灯で照らしながらステージの方に行くと、ステージの前ではキャンプファイヤーをしていて結構人が集まっていた。寒かったので火に当たりながらステージを見ると、女の人が古代風の音楽に狂ったように踊っていた。
しばらく火に当たりながらステージを見て、体が暖まったのでテントに戻る。寝袋に入って横になり話をしていたが、いつの間にか寝てしまった。10時頃だ。
寝ている間は寒かった。体は寝袋があったからそれほどでもないが、空気が冷たかったのでむき出しの顔がとても寒かった。朝方は寒さとまぶしさで毛布で顔を覆って寝た。
4日の朝は寒さと空腹で6時に目が覚めた。腹は減っていたが、寒いので7時に起きてメシを作ろうと思ってまた寝た。しばらくしてユーヘイに起こされて目を覚ますと、7時45分になっていた。
やっと起きて朝飯の炒飯を作り出す。炒飯を選んだわけは、朝から米を炊くのは面倒なので前日に炊いておいて火は起こさずガスコンロで炒めるだけにしようという計画だったから。
しかし昨日、逆にめんどくさくて今日の分は炊かなかった。だから火を起こして炊かなければならなくなった。
昨日と同じように、飯合で飯を炊く。やっと米が炊けてこれから炒めるのだが、ガスコンロの火では弱すぎるので、焼き肉と同じようにかまどを使う。フライパンに卵、焼豚、ご飯と順に入れ、炒飯の素少しと塩、コショウで味付けする。
ここでネギを忘れてきたことに気が着いた。今回のキャンプで唯一の忘れ物だった。
1回に作れる量が少ないので二回作った。2回目は手順を教えて、ヒロフミとユーヘイに作ってもらった。3回分の材料を用意していたので少し余ってしまった。昨日のみそ汁が残っていたので暖めて一緒に食べた。炒飯はうまかったが、やはり朝だったので少し油濃かった。
食べてしまい、片づけも終えたのが9時ぐらいで、それから昼まではだらだらして過ごす。12時近くになり、お昼にはまだ少し早い時間だが、暇なので早めに昼食を作ることにする。作るとは言ってもそうめんなので茹でるだけだ。
今度はガスコンロを使う。そうめんはヒロフミの強い勧めで、「いぼの糸」という高級そうめんを買ってきた。推薦人の彼に作ってもらった。湯を沸かし麺を入れて、煮えたらざるに入れて水で冷やした。そうめん自体はとてもうまかったが、氷がなくて冷やしきれなかったので、ぬるかった。
高級そうめんはうまいが高値で量が少なかった。3人ともそうめんだけでは足りずに、非常食のチキンラーメンを砕いてぼりぼりと食べた。ユーヘイは朝のご飯の残りも食べていた。
午後はそれぞれ別々に過ごす。ヒロフミはデジカメを持ってステージを見に行った。ユーヘイは一人サッカーボールで遊んでいた。その間自分は、ブルーシートに寝転がって昼寝をした。
1時間ほどして起きてみると、誰もいなかった。ステージの方に行ってみた。ヒロフミを見つけ、隣に座ってしばらく音楽を聞いた。ステージの上には、いろんなバンドが上がってきて、みんなノリノリで歌っていた。それにあわせて周りの人たちも踊ったり太鼓をたたいたりしていた。
テントに戻るとユーヘイが待っていた。ちょっと腹が減ったので、一人でコーンスープを作って飲んでいた。サッカーボールを蹴っていたユーヘイにお隣の外人さんがいっしょにしようと話しかけてきた。そして二人でパスを始めた。
黒人系の外人さんで、ボール捌きはとても上手だった。彼がヒールリフトをしてきたので、ユーヘイも同じように返すと、「Great!」と言っていた。一時サッカーを楽しむと彼は「ありがとう」と行って帰っていった。
その後ユーヘイと2人でたきぎを取りに行った。薪だけでも十分足りそうだが、細くて燃えやすい方が火を起こしやすいのだ。結構たくさん拾ってきた。
生えている木を枯れ木だと思って折っていたら、1本だけ生きている木を間違えて折ってしまった。一応スコップで穴を掘って挿し木をしてみたが、根付くのは難しいだろう。
5時頃になったので夕食を作り始める。今晩はキャンプの定番、カレーだ。米をといで飯合で炊く。カレーは、野菜と肉をフライパンで炒めてから鍋に入れる。玉ねぎ、人参、ジャガイモ、牛肉を順に炒めて鍋に入れていく。
具が煮えた頃、ジャワカレー甘口のルーを入れる。ご飯は時間を計り忘れてしまったので、うまく炊けたか自信がなかったが、飯合を開けてみると今までで1番うまく炊けていた。
カレーはうまかった。特に新玉ねぎが甘くてとてもうまかった。
この日も昨日と同じ時間帯だったので夕焼けが見えた。昨日のようにまぶしい夕日ではなく、赤くてきれいな夕焼けだった。
片づけをしてテントに入った後は昨日と同じ流れで、寝袋に入ってトランプをした後外へステージを見に行った。この日は昨日のような踊りとは違って普通のバンドのステージだった。
キャンプファイヤーの火にあたりながら、しばらく音楽を聞いてテントに戻った。この日も早めに10時頃には寝てしまった。
最終日、この日は8時頃に起きてすぐ朝飯を作り始めた。最後の食事はフレンチトースト。帰りの日は片づけがあって忙しいので、パンにしようと決めたのだ。
やはりこのメニューも、かまどにフライパンのスタイルで作った。自然とフライパンを持つのに熱くない方法を体得していた。
フレンチトーストは少し甘さが足りなかったかもしれない。ヒロフミとユーヘイは昨日コーンスープを飲まなかったので作って飲んでいた。
卵が2つ残ったので、まだ食い足りないと言うユーヘイと目玉焼きを作って食べた。これで持ってきた食材は全て使いきった。
食べ終えると、食器を片づけて、さっさと帰りの支度を始める。荷物をまとめて、ブルーシートを畳み、タープもしまった。この時が10時、迎えが来るのは12時。ちょっと早すぎた事に気がつく。11時から再開しようということで、テントに入って休憩する。
11時からは一気に片づける。荷物を外に出してテントを畳む。残った薪と燃えるゴミを燃やしてから、かまどを埋めた。
全作業が終わったのが11時45分頃。30分ほどして迎えの車が来たので、荷物を全部車に積む。帰るときお隣の外人さんのグループが「バイバイ」と手を振ってくれた。
帰る途中、長陽のヴィーナスという温泉に寄る。この温泉には前に一度、地球子屋の仲間と来たことがある。3人で入ろうと言うのに、なぜかヒロフミだけ風呂に入ることを断固拒否。仕方なくユーヘイと2人で入る。
ユーヘイはいっしょに入ったけど、体を洗って10分ほどで上がっていた。自分は一人ゆっくりと、がらがらの露天風呂に入って上がった。
それから温泉の隣の和食屋に入って4人で食事をする。みんな定食ものを食べた。帰りの車は、途中で3人とも寝てしまった。
4時頃、地球子屋に帰ってくる。荷物を降ろして、鍋や包丁などを洗った。鍋や飯合は洗うとすすが落ちたが、フライパンのすすがどうしても落ちない。結局フライパンは黒いままだ。
ユーヘイの迎えが来たので解散して家に帰る。ヒロフミは家が近いので、車でいっしょに帰った。
こうして2日ぶりに家に帰ってきて、翌日からこの作文を書き始め、10日後やっと書き終わった。こうしてやっとキャンプが終わった。
今回のキャンプは計画を自分一人で立て、送り迎え以外子どもだけで実行できた。失敗も特になかった。反省をするなら、計画をもっと早くしたらよかったことと、ネギを忘れたことだ。計画、実行、反省、と全ていい経験になったと思う。ぜひ、またキャンプに行こうと思う。
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