# 視聴するときにとったメモです。だいたいの流れが分かると思います。
# もう一度見直して修正しました。
# 地の文はナレーション、〈...〉は画面解説、「...」は誰かの発言、断らない限りグリーンバーグさん
# 一言一句正確には写していません。あくまでも概要です。
〈ヒロコ・グレースのナレーション〉
アメリカ東海岸にあるボストンは、近くにハーバード大学、マサチューセッツ工科大学などの大学が立ち並ぶ学園都市。
そのボストン市内から郊外へ車で40分の所に、サドベリーバレー校がある。この学校には、4歳から19歳までの150名の子どもたちが通っている。
このサドベリーバレー校には、普通の学校にあるべきものがほとんどない。学年割り、クラス分け、授業、テスト。ここは子どもたちの興味の赴くままに、自分のペースで学ぶ場所。創立から36年続くここの教育システムは、着実に成果を上げてきた。
〈カードゲーム、漫画、編み物、ゲームボーイ、ボール遊びをする子どもたち。カメラで何かを撮影している様子。昼寝をしてじゃれ合っている様子。〉
〈以後、いたるところに子どもたちの活き活きとした様子が映像として入れられている。庭を走り回っている様子、図書室の様子、X-BOXで遊んでいる様子、絵を描いている様子、料理をしている様子などなど〉
サドベリバレー校は朝8時に始まる。しかし登校時間は決まっていない。1日5時間居ることというルールを守れば、生徒と親の都合で、いつ来てもいつ帰ってもいい。
サドベリーバレー校の校舎は昔大富豪の邸宅だった建物を改装したもの。
子どもたちは、朝登校すると出席簿に登校した印を付ける。毎朝の日課はこれだけ。〈壁に生徒の名前の書いた表があり、そこに各曜日毎にINとOUTの欄がある。〉
人に迷惑さえかけなければ、何をするのも自由。遊びの中から、子どもたちは、自然に社会性を身につけていく。
〈ヒロコ・グレース登場〉
16歳の女の子に中の様子を案内してもらう。彼女は4歳からここにいる。
女の子「スタッフに頼めばいつでも本を読んでもらえる。」
〈本を読むスタッフの周りに低年齢の子どもたちが集まっている。〉
〈液晶ディスプレイのパソコンが数台並ぶ〉
コンピュータルームも完備、インターネットも使い放題。
ここのよいところを子どもたちに聞いてみると、
・「自由(Freedom)なところがいい。」
・「いちいち指示されないところがいい。」
・「クリエイティブなことに時間が使えるのが楽しい。」
ここには教師がいない。いるのは11人の学校スタッフ。スタッフの役割は主に子どもたちが安全に過ごせるように見守ること。
別の16歳の女の子。彼女は毎日本を読んでいる。今読んでいるのは村上春樹。
〈本のタイトルはWind-up Bird Chronicle ねじ巻き鳥クロニクル 〉
個性的な登場人物など、彼を賞賛する。彼女の文章を書く勉強がしたいという要求により、週に一度の授業が開かれている。ここでは、生徒が勉強をしたいと言い出さない限り、このような授業は成立しない。
〈彼女が作った物語をみんなの前で朗読する様子〉
先生役はスタッフだけではない。ここに来て3年目の11歳の女の子が、13歳の女の子に頼んで分数を教えてもらっている。公立校のときは大人の先生だったのでとても緊張した。彼女に教えてもらうと勉強が楽しい。
こうしてここの子どもたちはスタッフに授業を開くことを要求したり、子ども同士で学び合って、読み書きや算数を身につけていく。
〈グリーンバーグ氏登場〉
この学校を創立したメンバーの一人。
「私たちがすすんで教えるということはしません。好奇心を妨げないようにあえてそうしている。」
グリーンバーグさんはかつて大学で物理学を教えていた。しかし既存の教育システムに大きな疑問を覚えていた。
興味を持って始めたことには夢中になる子どもたちが、押しつけられた勉強には拒否反応を示してしまう。それならば、勉強に興味を持つまで教えるのをやめてしまおう。ダニエルさんはそう考えた。
〈グリーンバーグさんに物理のノートを見せて、質問をしている若者の映像〉
「教育しなければ、人は学ばない。それが一般的な考え方です。しかし現実は全く逆です。学ぼうという気持ちがあるから、教えてもらいたいと思う。本当に必要なことは、自分から学び取っていくものです。」
〈カードゲームをしている子どもたちの様子〉
「子どもたちには食欲と同じように知識欲が備わっているのです。必要に迫られれば、読めるようになるのです。」
〈創立当初の子どもたちの楽しそうな白黒の映像〉
設立当初の1960年代は、学園運動やヒッピームーブメントがさかんだった時代。そんな頃サドベリーバレーの新しい教育の中で、子どもたちが驚くべき集中力を見せて、自分の能力を開発していった。
「この学校の基本方針は子どもたちをひとりの人間として扱うことです。大人に接するのと同じように生徒にも向き合っています。」
ダニエルさんは、子どもたちに自由を持たせると共に責任を持たせました。年齢にかかわらず、生徒もスタッフも一票ずつ持っている。全体集会は週に一度開かれる。校則など学校の運営に関わる全てがここで決められている。参加は自由だが、自分の意見を学校の運営に反映させたいと大勢の子どもたちが集まる。
学校内に酒を持ち込んで停学になった子どもの復学について話し合い。このとき、本人が出てきて、みんなの前で戻りたい理由を発言している。とても冷静に意見交換がすすむ。
「子どもにはしっかりとした判断力が備わっています。人生経験が少ないから判断力がないということはない。人生経験を積まなければ、判断ができないのであれば、世の中は全て老人が支配するという理屈になる。人間は年齢にかかわらず、同等に扱われるべきです。これは他人を評価する上でとても重要なことです。」
みんなで決めたルールの下で誰もが平等に権利を主張できるここは、民主主義の実験場。
ルールを破ると、生徒とスタッフが運営する裁判所に送られる。毎朝11時から1時間開かれる。9歳の子からいじめられたという訴え。訴えられた本人が呼び出される。判決の結果はすぐに公表される。画面は掲示板に張り出す様子。罰はゴミ当番から、退学まで。このようにして子どもたちは自由と責任を学ぶ。
最近、36年間の卒業生たちの進路について調査結果をまとめた(*3)。卒業生の答えたアンケートでは、その80パーセントが希望する大学に進んだ。大学卒業後は、研究者やアーティストなど専門職に就く人が多く、企業に就職する人の割合が低い。自分の人生を肯定的にとらえる人も高い割合を示している。
しかし、この学校のシステムになじめない子がいるのも、これまでに大勢いた。全150人中毎年数人が公立の学校に戻っていく。
7歳の子どもをサドベリーバレーに通わせている女性、彼女自身もここの卒業生。化粧品会社で販売責任者になっている。
卒業生「大学で数学を一から勉強した。ここでは何もしていなかったから。サドベリーバレー校の最大の教えは、勉強を始めたいと思ったら、どう取り組むかを考えること。自分が何のために数学が必要なのかをよく考えた。」
卒業生「孫が満足に読めないことをとても心配してる。でも読みたくなれば読めるようになるもの。そのときはもっと楽に早く、勉強に疑問を抱くこともなく。」
今年卒業の、6歳のときから12年間ここにいる若者。長く続けている一輪車は全国大会に出場するほど。
若者「好奇心はどんどん変化した。蛙取り、飛行機、第二次対戦の戦闘機、歴史が好きになり、本をたくさん読んだ。」
彼は大学入学の共通テストで優秀な成績を修めた。将来は科学者になるのが夢。
「卒業生は大学入学審査で高い評価を持っています。彼らは確固たる理由をもって、進学を希望しているし、好きなことを積極的にやってきたからです。彼らには仕事に情熱を注ぐ、人生を歩んでもらいたい。そして社会や課程で愛のある関係を築いてほしい。それこそがこの学校の目的なのです。」
このシステムをモデルにした学校は全米で23校ある。
学ぶことと、生きることの意味を問い続けるサドベリーバレースクールの試みが続いています。 |