「対人地雷問題について」

 2003年9月30日(火)に地球子屋では『ピースボート報告会 「ヤスホ」さんが見てきた地雷の話』と銘打った「ヤスホさんの地雷出前教室」を開きました。会場はくまもと県民交流館「パレア」10F。そこに参加した報告と、参加するためにいろいろ調べたことをこのページにまとめてみようと思います。(高柳)

地球子屋主催でヤスホさんを招いたのですが、難しい話題だったせいか、残念ながら子どもたちの参加は3名だけでした。是非とも、他の子どもたちにも、またこのサイトに訪れてくれた人たちにも知ってほしいことなので、ここにまとめまておきます。

 この企画を持ち込んでくれた国武さんをはじめとする他の地球子屋スタッフ、および多くのこの企画の実現に協力してくれた人たちに感謝します。私は単にビデオ上映のお手伝いとマイクの電源を入れたことぐらいしか会場ではしていないのですが、ここに文章を書かせてもらいます。

 このページの一番下に、地雷除去のための募金サイトへのリンクがあります。このページやここでリンクしているサイトの内容をよく読んで、賛同された方は、どうぞクリックしてください。
 1クリックでスポンサーから21平方センチを除去するだけの募金がなされます。あなたはこのクリックで何も払う必要はありません。代わりにスポンサーが払ってくれます。ただし1日1クリックだけです。(
下記サイトでの募金は現在中止されています。)

2003.12.9 後日、地雷問題に関する基礎知識を加筆いたします。


「ヤスホさんの地雷教室」

 

出番直前のヤスホさん

解体された地雷の写真

ヤスホさん登場

解体した地雷を実際に手に触れる感触、現地を見てきたヤスホさん本人の声、実際に会って伝わってくる地雷問題を全国で語らなくてはいけないと思った彼女の行動力と人柄は、文章では決して伝えることはできません。

・ヤスホさんの自己紹介と、地雷教室を開くようになった理由

上 泰歩(うえ・やすほ) さん。岐阜県出身の19歳。

彼女は高校時代、坂本龍一さんらがテレビでおこなった『地雷ゼロキャンペーン』がきっかけで地雷問題に興味を持った。

高校の文化祭で地雷の恐ろしさを伝える展示を企画した。

自校の学生だけ参加の文化祭だったのに、10万円の募金が集まった。このとき今の若者たちもきっかけさえあれば、ちゃんと行動することができるとヤスホさんは感じた。

2002年「ピースボート地雷廃絶キャンペーン」に参加し、カンボジアの地雷原を訪問した。

2003年5月15日札幌を出発し、約5ヶ月間の多くの人たちに地雷問題を知ってもらうための自転車の旅の途中、ゴールの沖縄まであともう少しの9月30日、熊本でのいくつかの教室の1つとして、私たちのために「地雷教室」を開いてくれた。

・地雷の仕組みの説明、地雷の実物・模型

地雷の仕組みの説明の写真

地雷の仕組みの説明

解体された地雷の写真

解体された地雷

雷の模型と、破壊された地雷の写真

地雷の模型と、破壊された地雷

チョウチョ型の地雷があり、80円ぐらいでできる。子どもたちが手にとって遊ぶことを前提に作られている。

対車両地雷は、人ではなく戦車などをねらった地雷だが、その地雷を撤去できないようにまわりに対人地雷が埋められている。

・地雷とはどのような武器か

1.人を殺さない武器。人を傷つけることを目的とした武器。心を持った人間の心理を計算して作られた悪意のある武器。

たとえば、40人の部隊で3人が戦死すれば、37人になるが部隊として活動できる。しかし、3人が地雷により負傷すればそれを支える者、治療する者が必要になり、25人の小さな部隊になってしまう。怪我をした者を見捨てずに助けようとする人の心を利用し、そして地雷の犠牲になるかもしれない恐怖心で行動を制限させる。

2.永続的に人々を苦しめる。

カンボジアでは10年前に戦争が終結したのに、20年前に埋められた地雷で人々が苦しめられている。戦争を知らない世代が自分の知らない戦争のために犠牲になっている。

3.土地を使わせなくする。

たった一個地雷があるだけで、かなり広い範囲でその土地に入ることができなくなる。しかし、危険だと分かっていても生活するために入らざるを得ず、そして人々が傷ついている。

・ビデオ上映

ヤスホさんが参加した地雷検証ツアーの映像。ドクロマークの看板とロープが張ってある土地の映像。現地の人が地雷の細かな違いについて説明する場面など。

地雷を説明している映像の写真

地雷を説明している映像

・写真の説明、地雷除去以外の問題

地雷除去の予定地が決まると、危険を承知でロープの向こう側に入って家を建て、除去後の土地の所有権を主張しようとする人たちがいる。

地雷が除去された土地は、金持ちに買い占められ、貧富の差がますます広がっていく。

・私たちに何ができるのか

1.募金

怪しいものもある。信頼できる相手を自分で探す必要がある。

1平方メートルの地雷を除去できるピースボートの100円キャンペーンの紹介。

2.伝えること

3.知ること

・質疑応答

ピースボートにはどんな人が乗っているのか、どれくらいの費用がかかるのか。今回の旅の報告書はいつ頃できるのか。などの質問がされました。


私たちにできること:

下のリンク一覧で紹介しているICBL(地雷廃絶キャンペーン)(英語)の「Action You Can Take」 のページに書かれている、私たちがとることのできる行動を訳してみました(丁寧に翻訳したつもりですが、誤訳がありましたら、どうか連絡ください)。詳しくは、http://www.icbl.org/の英文をじっくり読んでください。

・いますぐ私たちICBLを手伝ってくれる具体的な行動のために、「Action Alerts(警告行動)」を確認してください。

・「the People's Treaty(人々の条約)」に署名することによって廃絶要求を支持してください。(この条約をコピーするには要連絡)

・あなたの政府に対し、地雷廃絶条約への署名および批准を急がせてください。
(訳注 日本政府はすでに対人地雷禁止条約(オタワ条約)を批准しています。)

・あなたの政府に対し、全ての保有地雷を条約の最終期限前に破壊させるのを急がせてください。
(訳注 日本政府は2003年2月自衛隊が保有する100万個の地雷の廃棄を完了しました。)

・あなたの政府に対し、地雷で生き残った人々への社会的・経済的な復帰を含む、対人地雷行動プログラムへの国際的かつ相互的なプログラムを支援するよう急がせてください。
(訳注 日本政府はアフガニスタンでの地雷除去活動を支援しています。)

・社会やメディアを教育してください。

・ICBLファクトシートを読んでより学んでください。

・自分自身を教育してください。 私たちICBLのメーリングリストに参加して、最新情報を持ち続けてください。

・あなたの国がこの条約に応じるのを保証するために私たちICBLを手伝ってください。

・地雷を製造する人、輸出する人、使用する人を非難してください。

・ ICBL連絡先リストであなたの一番近くのICBL連絡先を探し、その組織に連絡をとってください。

・あなたの国で国民のキャンペーンを組織してください。そしてICBLキャンペーンキットを注文するか、考えを得るためにオンラインバージョンのキットを見てください。助けを求めるために私たちICBLに連絡をとってください。

・「the People's Treaty(人々の条約)」か、あなたが26歳より下だったら「the Youth Against War Treaty(戦争に反対する若者の条約)」に署名してください。

・ICBLに、電話、手紙もしくはオンラインで、寄付をしてください。

・クリックすると地雷をなくすための活動に募金が行える下のボタンをクリックしてください。(現在は行われていません。)


関連資料:

-出版物

・「サニーのおねがい 地雷ではなく花をください 」 柳瀬 房子-文  葉 祥明-絵 自由国民社

1996年に出版され、話題になった本です。この本の収益は、世界各地の地雷撤去活動に使われるそうなので、できる限り借りずに買いましょう。シリーズ化され、5冊まで出ているようです。

・「地雷と人間 〜一人ひとりにできること〜」 地雷廃絶日本キャンペーン 編 岩波ブックレット

今年発行されたばかりの本で、ヤスホさんも日本縦断中に教えてもらったそうです。専門書風の表紙ですが、とてもわかりやすい内容だそうです。

・「地雷と聖火」 クリス・ムーン 著

 1998年、長野オリンピックで聖火ランナーとして走ったクリス・ムーンさんが書いた本です。1995年彼はモザンビークでの地雷撤去作業中に、右手、右足を失いました。走ることで、人々に地雷問題を訴えています。

-インターネット

ピースボート・サイト内のヤスホさんの地雷出前教室のページ

ヤスホさんの道中記などがあります。このページを先に見てもらっていれば、少しは地球子屋の子どもたちの参加も増えたかもしれない。

天使になりたい

「地雷ではなく花をください」を読んで地雷のことに関心を持った女性の個人サイト。とてもわかりやすく地雷問題についてまとめられたすばらしいページです。本当にどうか、彼女のこのサイトを訪れた人も、どうかこのページを見ている人も、一粒の雨粒になってください。

ノーモア地雷

1999年当時6年生だった柴田知佐さんが書いた有名なマンガを読むことができる「天使になりたい」内のページです。彼女が2000年に行ったカンボジアの旅日記もあります。

KLCC(地雷廃絶と被害者支援の会・熊本)

クリス・ムーンさんの本との出会いがきっかけで、生まれた会だそうです。2000年にクリス・ムーンさんが熊本に来られましたが、この会の人たちが招いたんですね。柴田知佐さんはたびたび(今年も)熊本に来られていたんですね。

KLCC (地雷廃絶と被害者支援の会・熊本)ジュニア

KCLLの子ども向けの会です。小学生及び中学生が入会対象だそうです。「地雷ってな〜に?」のページにはとてもわかりやすい言葉で、地雷についてのQ&Aが書かれています。また、柴田知佐さんのページもあります。そこを読むと1998年に長野オリンピックでクリス・ムーンさんが聖火ランナーとして走ったことを総合学習で取り上げたのが大きなきっかけになったと分かります。

JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン)

JCBLは、地雷廃絶のキャンペーンを行っているネットワークNGOです。会の趣旨に賛同する多くの個人や団体が参加しています。JCBLでは地雷の模型など資料の貸し出しもできます。このサイトには、オタワ条約の日本政府訳文など、多くの日本語で読める資料があります。先の本「地雷と人間 〜一人ひとりにできること〜」はこの団体の編纂です。 

ICBL(地雷廃絶キャンペーン) 英語サイト

ICBLは、1992年に結成された地雷廃絶を目的とする国際的なNGOのネットワークです。このICBLの設立が、各国政府を動かしていく現在の地雷廃絶の世界的な流れを作り出しました。このサイトは英語で書かれていますが、地雷問題に関するあらゆる資料を見ることができるでしょう。

Youth Action Forum 英語サイト(日本語訳有り

ICBLサイト内にある若者たち自身によって作られた若者たちが地雷問題について学び、行動するためのサイトです。英語ですがメーリングリストがあります。また「戦争に反対する若者による条約」のページがあり、オンラインでこの条約に署名することができます。

Safe Lane 英語サイト

カナダ政府が運営する地雷廃絶サイトです。英語ですが、とてもわかりやすく資料が整理されています。オタワ会議の資料を読むことができます。

わが国の対人地雷問題への取り組み [外務省]

日本政府の対人地雷問題に対しての取り組みを知ることができます。

対人地雷問題 サイトの構成がわかりにくいのですが、こちらは最近の取り組みがまとめれているようです。

アフガニスタンの地雷 特にこのページはフラッシュムービーや、ビデオ映像、図表などを多用し、どのように日本政府がアフガニスタンでの地雷除去の支援を行っているのかがわかりやすくまとめられています。

Clear Landmines 英語サイト(もう募金できません)

世界地図をクリックすると、地雷除去のための募金がスポンサーから支払われるサイトです。一日一クリックだけですが、それだけで21平方センチの土地の地雷を除去できるそうです。 「Action You Can Take」で紹介されている募金サイトです。

NPO法人フリースクール地球子屋 スタッフ高柳